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院長ブログ
歯医者の治療が「回数が多い」と感じる理由とは?虫歯と歯周病治療の深い関係 虫歯治療より歯周病治療を優先させる理由
「虫歯だけ治してほしいのに、なぜ歯周病の治療も勧められるの?」
そんなご質問を患者さまからいただくことがあります。
実は、虫歯と歯周病は切っても切れない関係にあり、より良い治療結果を得るためには両方のバランスが大切です。今回は、「治療回数が増える理由」と「虫歯と歯周病の関係」について、家づくりに例えてわかりやすくお話しします。
虫歯治療と歯周病治療は「家」と「地盤」の関係
歯の治療は、よく「家を建てること」に例えられます。
- 歯ぐきから上:家本体(虫歯の治療)
- 歯ぐきから下:地盤・基礎(土台=歯周組織の治療)
いくら外見が美しい家を建てても、地盤がゆるいと家は崩れてしまいますよね?
虫歯治療だけをしても、歯周病という“地盤”が不安定なままでは、治療の効果が長持ちしません。
虫歯の治療が優先的に行なえるのは、あくまで土台や基礎がしっかりしている家が原則。小さなリフォームや修繕であれば、1日で完了します。しかし歯がボロボロで歯周病も進行しているような場合では、基礎からやりなおすことになり建て替えとなります。こうなるとある程度の治療回数と治療期間が必要になってきます。
どんなに豪華できれいな家であっても、基礎がしっかりしていない家は長くは持ちませんし、下手をすると基礎ごと外れて家が無くなってしまいます。

虫歯治療だけ先に行うと、どんな問題が起こるの?
1. 詰め物の接着がうまくいかないことがある
歯ぐきに炎症があると、詰め物やかぶせ物を装着する際に出血や浸出液が邪魔をして、接着が不完全になりやすくなります。その結果、詰め物と歯の間にすき間ができ、そこから再度虫歯になることも…。
2. 治療後に歯ぐきが下がるリスク
歯周病を治療せずにかぶせ物をすると、その後に歯ぐきが下がり、被せ物と歯の境目が露出してしまうことも。これにより、見た目が気になったり、再治療が必要になることがあります。

なぜ治療回数が増えるの?
それは、「きちんと長持ちするように治すため」です。
- 小さな虫歯で、かつ歯ぐきの状態が良好であれば、1〜2回の治療で終わることもあります。
- しかし歯周病が進行している場合は、歯石除去や歯周ポケットの管理を先に行い、口腔内環境を整える必要があります。これが治療の回数に影響するのです。
メンテナンスを習慣化すれば、治療はもっとスムーズに
定期的な歯科検診や歯石除去を受けていれば、歯周病のリスクも下がり、虫歯治療もスムーズに進みます。
反対に、歯周病が進んでから治療を始めると、
- 歯を支える骨が溶けている
- ぐらつきがある
- 歯が保存できない
ということにもなりかねません。
まとめ:長く健康な歯を保つには「土台のケア」が大切
歯のトラブルは見える部分(虫歯)だけに目が行きがちですが、本当に大切なのは“見えない土台”である歯周組織の健康です。
「回数が多く感じる治療」には、あなたの歯を長持ちさせたいという想いが込められています。
健康な口元を保つためにも、虫歯と歯周病、両方の治療をしっかり受けていただくことをおすすめします。