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原因不明の歯の痛み! ~虫歯じゃないのに歯の痛みを引き起こす原因~

歯が痛くなって、歯医者さんに行って歯の神経を取ったが痛みが続いている、違う歯医者に行って歯の根の治療を受けたが痛みは変わらない、痛い歯を抜歯しても痛みが残っている、このようにいつまでも治らない痛みに悩んでいる方はいないでしょうか。

歯の痛みの多くは虫歯や歯周病など歯が原因で起こります。しかし時々、歯が原因でなくても歯が痛むことがあります。例えば周りの筋肉の痛みや偏頭痛、狭心症など、歯とは関係ないにもかかわらず、歯の痛みを引き起こすことがあります。こういった場合、歯の治療をしても痛みが引くことはありません。

実は歯が痛くて歯医者に行く人の3%は歯が原因ではないとの報告があります。そのためいくら歯が痛いからといって歯の治療をしても、痛みはいつまでたっても変わらないのです。歯医者だけでなく、耳鼻科や循環器内科、ペインクリニックなどと連携しなければ、歯の痛みの原因はわからないのです。今回は原因不明の歯の痛みについてのお話です。

 

歯以外で歯の痛みを引き起こす原因

筋肉によって起こる歯の痛み

頬や頭、首の周りの筋肉の痛みによって歯が痛くなることがあります。主に歯ぎしりや食いしばりなどで筋肉に痛みが出ると筋肉の痛みが広がり、奥歯の痛みと錯覚することがあります。原因の筋肉には押すと痛みがあるポイントがあり、この部分をしばらく押し続けると歯も痛くなります。最も多いのが頬の筋肉(咬筋:こうきん)です。
痛い筋肉を安静にしたり、マッサージや温湿布で筋肉をほぐすことで歯の痛みも軽減します。

 

神経によって起こる歯の痛み

顔面の神経痛やウィルス感染などで神経が傷つくと歯が痛くなることがあります。人の顔には三叉神経という顔面の知覚を司る神経があります。

三叉神経痛の場合は洗顔や、髭剃り、歯磨きなどの時に鼻の脇などある痛みのポイントに触れると強い歯の痛みが数秒続きます。上アゴの犬歯や下アゴの奥歯に痛みを感じることが多く、瞬間的に電気が走るような痛みが出ます。

帯状疱疹といったウィルス感染の場合は、突然健康な歯に強い痛みが出て、数日間激痛が続きます。また、一時的な痛みは消えるまでに10秒程度かかる場合があります。夜も眠れないほどの痛みです。歯の神経を抜いたり、痛い歯を抜歯しても違和感や鋭い痛みが残る場合があります。
また、歯の根の治療の根管治療後や、親知らず抜歯後に続く痛みも神経痛による可能性があります。
歯医者では治ることはなく、ペインクリニックなどで専門的な治療が必要にります。

 

鼻の炎症によって起こる歯の痛み

顔面の骨の中には副鼻腔という鼻の穴につながった大きな空洞があります。副鼻腔の中の上顎洞(じょうがくどう)の炎症によって歯が痛むことがあります。上顎洞に炎症が起こると上顎の小臼歯や奥歯に冷たいものがしみたり、噛んだ時に痛みが起こります。上顎洞炎の18%に歯痛があります。また、同じように上顎洞癌によっても歯の痛みは起こります。耳鼻咽喉科や口腔外科での治療が必要になります。

 

心臓病によって起こる歯の痛み

狭心症や心筋梗塞によって歯が痛むことがあります。下アゴの歯が痛み、麻酔をしても痛みが消えません。歯の痛みは強く広い範囲に起こり、胸や背中に痛みが移り、死に至ることがあります。また、胸の圧迫感と連動して左右に強い歯痛が出ることがあります。早急に循環器内科等で治療を行う必要があります。

 

精神疾患によって起こる歯の痛み

統合失調症やうつ病などの精神疾患で歯が痛むことがあります。精神疾患による歯痛は左右両方に出たり、歯の痛みが長く続いたり、痛みの場所が広がったり、心理的な状態によっても変化します。向精神薬の副作用でも歯痛が出ます。精神科での治療が必要となります。

 

 

原因不明の歯の痛みの治療が難しい理由

患者さんの思い込み

普通は歯が痛いときは歯医者に行きます。それは歯が痛い原因が歯に関連していると本人が思っているからです。もちろん、歯が痛い原因の9割以上は歯が原因です。しかし、行った歯医者さんで歯が原因ではないと言われた時、納得できずに帰られてしまう方もいます。

 

歯医者さんの思い込み

歯医者さんも歯が痛い原因を歯だと思い込んでしまっている場合、痛みを取るために歯の神経を抜いたり、抜歯をしてしまうことがあります。それでも痛みが取れない時に歯が原因ではないのかと気づくことがあります。

 

そもそも原因を特定するのが難しい

歯が原因でない歯の痛みを特定することは多くの原因があるために難しいのです。一つずつ歯が痛い原因の可能性のあるものを確認していくため、多くの診療科での検査や診断が必要になります。それでも原因不明となる場合もありますし、時間とともに治ってしまうこともあります。

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