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院長ブログ
歯周病で失った歯ぐきを再生できる?歯周組織再生療法という選択肢
年齢を重ねると共に歯ぐきの下がりや歯のぐらつきが気になる…。それはもしかすると進行した歯周病のサインかもしれません。歯周病は歯を支える骨や歯ぐき(歯周組織)をじわじわと破壊していく病気です。従来の治療では進行を止めることはできても、一度失われた組織を元に戻すことはできませんでした。
しかし、近年の歯科医療の進歩により、**「歯周組織再生療法」**という治療が注目されています。今回は、その仕組みやメリット、注意点についてわかりやすくご紹介します。
歯周組織再生療法とは?
歯周組織再生療法とは、歯周病によって失われた歯を支える骨(歯槽骨)や歯根膜、セメント質などの歯周組織を再び回復させる治療法です。
特に進行した中等度〜重度の歯周病の患者さんにとって、抜歯を回避し、歯を長く維持するための有効な手段とされています。
どんな方法があるの?
日本歯周病学会が発行している『歯周治療のガイドライン2022』によれば、主に以下のような再生療法が用いられます。
1. GTR法(組織再生誘導法)
メンブレンという特殊な膜を使い、歯周組織が再生しやすい環境を作る方法です。骨が再生するスペースを確保し、歯根膜などが優先的に再生されるようにします。
2. EMD法(エナメルマトリックス誘導法)
エムドゲインというタンパク質を歯根表面に塗布し、天然の歯周組織の再生を促す方法です。手術時間が比較的短く、再生に必要な生体反応を引き出します。
3. 人工骨や自家骨の移植
骨が大きく失われている部位には、人工骨やご自身の骨を移植することで再生を補助することもあります。
歯周組織再生療法のメリット
- 歯の保存が可能になり、抜歯リスクが低下する
- 噛む力が回復し、食事の満足度が向上
- 歯ぐきの健康を取り戻すことで口元の見た目も改善
- 将来的なインプラントやブリッジの選択肢が広がる
注意すべきポイント
- 外科手術が必要なため、全身疾患や喫煙習慣がある方には不向きな場合がある
- 費用は保険外となるケースが多く、治療費が高額になる可能性がある
- 再生可能な症例には限りがあるため、術前の精密検査が必須
- 基本治療の経過が良好(ブラッシングや歯石除去)になった方でないとうまくいかない。
江口歯科医院での対応
当院では、歯周病の進行度や生活習慣などを丁寧に診査し、必要な場合は歯周組織再生療法もご提案いたします。歯を残したいという想いに寄り添い、最適な治療計画を立てます。
ご家庭でできる歯周病予防も忘れずに
再生療法を受けた後も、日々のケアが非常に重要です。歯科医院での定期的なクリーニングとご家庭での適切なブラッシングを継続することで、再発を防ぎ、歯を守り続けることができます。
まとめ
歯周病によって失った歯ぐきや骨も、現在では再生が可能な時代になりました。気になる症状がある方は、早めにご相談ください。未来の健康のために、一歩踏み出してみましょう。